情報弱者を食い物にする情報商材に炎上はまったく痛手ではないということを知って欲しい話 #意地でも炎上させない情弱ビジネス

普段こう言った話題には言及しないのですが、ほんとうに悲しいし憤りを覚えているのでちゃんとした啓蒙活動をしたいと思い筆(キーボード)をとっています。

TL;DR

倫理観の欠如したような情報商材を扱う経営者やサービスの名前を絶対に 言及してはいけません。もう一回いいます、 絶対に言及してはいけません。炎上したら勝ちではなく、炎上したら負け です。もう一回いいます、 負け です。

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何が起きた

一昨日(2019-10-19)あたりから、とあるプログラミングスクールとその経営者が炎上しています。

けっこうな勢いで燃えているので何のことかわかる方はすぐいると思いますし、それなりにネットリテラシーの高い人であればすぐ見つけられるでしょう。

今回はリテラシーの高い方に向けて書いているので、あえて細かい情報は出しません。このブログを読んで何のことかわからない方は、ご自身の検索能力を駆使して探してみてください。細かい情報(特にサービス名)を出してしまうと、情報弱者たる人たちの被害が増えてしまうので、絶対に言及してはいけないと考えます。このレベルの情報をもとに探せる人は 充分にリテラシー が高いので大丈夫でしょう(たぶん)。

問題は、 今回の問題の根底を理解できないレベルの情報弱者がサービス名をもとに当該スクールを認知し、発見し、まんまと登録してしまう ことなのです。

リテラシーの高い人は、周りもリテラシーの高い人たちに囲まれて生活している可能性が高いです。そうすると、世の中には相当な数の情報弱者がいる ということをほとんど認知できないため、今回のような炎上による結果が実際に思っているのとは全く違う方向に行くことがなかなか想像できません。今回はこの点についてなるべくわかりやすく紐解いていきたいです。

今回の流れをざっとまとめると

  • 著作権を有していない画像を無断でスクールのブログで使用
  • Twitter上で当該画像の著作権保有者によって無断使用が言及される
  • スクールの経営者が「そしたら、削除しときますね〜」とリプライ
  • その後、同経営者から著作権軽視の発言がなされる
  • さらに文章やソースコードの盗用も指摘される
  • 同経営者は、悪びれるそぶりも見せず、むしろ挑発的な発言を繰り返す
  • Togetterや、ブログに著作権盗用がまとめられ、炎上
  • その後、リプやリツイートの嵐で燃え続ける
  • GoodpatchのCEOにより言及され、当該スクール卒業者の採用をしない旨のツイートがなされる
  • 同経営者は厚生労働省の公正な採用選考に関わるリンクに言及し、Goodpatchの倫理観に関して反論
  • 同経営者がQiitaに著作権侵害騒動についてまとめる

典型的炎上案件です。今回とにかく目立ったのが、当該経営者が倫理的に問題のある発言を繰り返し、さらに挑発的な態度で炎上をあおったことでした。なぜこのような態度をしたのでしょう。普通の人は理解に苦しみます。だって、信用失うじゃないですか?実際、今回の炎上で当該スクールには絶対近づきたくないと思った方が非常に多いと思います。

しかし、そのような感覚とはうらはらに、炎上してしまったことで当該スクールはより登録者を増やし、ビジネスを拡大していく可能性が高くなってしまったと私は考えます。

炎上したので、このスクールはもうすぐ経営難に陥るんじゃないの?

残念ながらそうはならないでしょう。むしろこのままではこれからさらに売り上げを伸ばしていく可能性が高いです。

もうね、ほんと今回腹立たしいのは、炎上元の本人がしっかり種明かししてるんですよ。それなのに燃えてしまっているのが本当にくやしい。本人のツイートにこう書いてあります

マイナスイメージを持つのはそもそもそういう類に元からマイナスイメージ持ってる人だけなんだよね。 そこをうちはターゲットにすらしてないから何ら問題がない。 そして面白いもんで認知の数の方が多いんだよ。

どういうことなの?マーケットのセグメントから理解しよう

説明を単純にするために、マーケットを単純化して、2つのセグメントしか存在しないと仮定します。情報リテラシーの高い人たちのセグメントと、情報リテラシーの低い人たちのセグメントです。

今回の騒動で憤っているほとんど人たちは、情報リテラシーの高いセグメントに属しています。そして、この層の人たちは、今回の騒動を炎上させることによって、当該スクールの法的問題点や倫理的問題点をつまびらかにしたいと考えます。そうすることによって、マーケットに存在する皆が当該スクールの問題点を認識し、当該スクールがどんどん追い詰められていくと想像します。

では本当にそうなるのでしょうか。実際は、情報は拡散されればされるほど、多様な層に拡散されていきます。つまり、情報リテラシーの高いセグメント、情報リテラシーの低いセグメント両方に拡散されていきます。では拡散された情報は同様に理解されていくのでしょうか?残念ながら違います。情報リテラシーの高いセグメントに属する人たちは、もともと拡散した人たちと同様に憤ります。しかし、情報リテラシーの低いセグメントに属する人たちは、そもそも問題の論点がよくわかりません。著作権とか倫理観とかあまりピンとこないけど、ただただ〇〇というスクールのサービス名が目に入ってきます。

当該スクールのLPに訪れると、怪しげな文言が踊っています。しかし、情報リテラシーの低い人たちの一部には、これらの文言がどうも魅力的に映り、高い値段にも関わらずなんだか登録したくなってしまいます。このようなセグメントは人口に対して一定の割合存在しています。そして、このセグメントは、残念ながら今回の著作権侵害騒動に関して、そもそもの論点や倫理的問題点についてほとんどと言っていいほど理解ができない人たちです。拡散された情報から不幸にも当該サービスのLanding Pageにたどり着いてしまった人は、当該ページの文言に引き寄せられ、一定のコンバージョンレートで登録していってしまいます。そして、ここの登録数は、シンプルに 情報が拡散されればされるほど一定の割合で増えていってしまう のです。

リテラシーの人は正しい情報が拡散されればされるほど当該スクールに打撃を与えると信じて行動を起こすのだが、実際は逆のことが起きてしまうのです。

今回説明をわかりやすくするために高リテラシーセグメントと低リテラシーセグメントという2種類にざっくり分類しましたが、実際のマーケットはもっと複雑かと思います。ただ、炎上の力学と、情報弱者を対象とする情報商材のマーケットを理解するにはこの単純化が有効かと思います。

情報商材を扱う相手に自分と同じ価値観の土俵で戦うのは筋が悪すぎる

今回の炎上で憤りを露わにしているのは、明確にリテラシーの高い、エンジニアやビジネスマンとしての倫理感を持った、非常にまっとうな方々です。だからこそ、今回のような著作権を蔑ろにするような経営者の対応に怒りを覚え、なかには炎上させることで当該スクールの品質や倫理観に関する警鐘をならし、当該スクールの被害者を減らしたいと思った方も多いのではないでしょうか。

しかし、上で説明した通り、これは残念ながら全くの逆効果です。

当該経営者がプログラミングスクールを経営しているという事実から、おそらく多くのエンジニアや経営者、ビジネスマンが自分たちと同等の倫理観や正義感を前提に、相手がこれをしたら観念するだろうとか、これをやられたら痛いだろうと想像すると思います(自分もそうでした)。そういった意味でいろんな方が、法的問題点や、信用に関する問題、倫理的な問題を突っついていると思います。

しかし、当該経営者は、稼ぐこと以外まったく興味がないため、まったく意に介していない様子です。こちらも自分で種明かししている。

稼ぎ方が分かってないんだよね〜 単純なイラストやら画像なんてありふれててどこでも使い回されてんのに。 まぁ、だからお金が稼げないという。

通常であれば信用問題はビジネスの根幹を揺るがすのですが、当該スクールはそもそも信用が問題となるような取引はしていない模様

元々、取引しようと思っていたらこの方向性でブランディングしてないしね〜

そして、どうやら彼はもともとエンジニアではなく、売り上げをあげる系のプロフェッショナル。こうなるとほんと無敵です。技術的な倫理感を持たないことになんの躊躇もなく、とにかく稼ぐことだけを考えている。おそらく彼は今のビジネスに対しても別に愛着も何もないのでしょう。炎上して信用を失っても痛くも痒くもないのかなと想像します。もし元ビジネスで問題になるレベルで信用を失ってもまた別のドメインでビジネスを始めればいい。彼は情報弱者を食い物にして稼ぐ方法を理解しているので、ドメインがなんであろうと稼ぐことができてしまうんです。

さらに手強い事実

今回の騒動で特徴的だったのが、スクール内部の方々がこの経営者に対して好意的な態度を示していたことでした。おそらく、スクールの満足度自体は相当高いんだと想像します。そして、元ホストということで人心掌握術に長けている可能性が高いです。炎上しても内部からは信用を失わない自信もあるのかもしれません。

もう一点、今回私が注目したのは、GoodpatchのCEOが倫理観について言及した際に、それまでの悪者スタンス・煽りスタンスとは一転して、相手の倫理観を逆に攻める方向に転じたことです。これははたから見ると自分を棚に上げてなにいっとんねん案件なんですが、スクール在籍者に対して守りの姿勢を見せることで、内部の忠誠がズドーンと上がります。さらに、ちょっと高度な論戦を繰り広げることで、議論の内容がそこまでよく理解できない人たちに、〇〇スクールのトップはなんかすごい人と論戦して言い負かしてる(してないんだけど...)。やっぱりすごい人なんだ。という印象を植え付けることができます。

完全に、セグメントのターゲット(低リテラシー層)に対してのみブランディングを仕掛けているわけで、それ以外からはどう思われようが痛くも痒くもないんです... ここを理解しないと炎上の力学に負けてしまいます。

炎上すれば懲らしめられると思っているあなた、大間違いです

世の中のリテラシーの高い方のほとんどは、信用を糧にしてビジネスをおこなっていますし、また、プログラミングを武器にして活躍するエンジニアの多くは技術倫理にとても敏感です。だからこそ、信用や倫理感に反することに対し、過敏に反応してしまいます。そして、自分の土壌で戦えば懲らしめられると思ってしまうかもしれませんが、現状はどうも分が悪そうです...

情報弱者の被害者を減らすためにも、サービス名や経営者の名前を公表して啓蒙活動をしなければいけないのでは?

残酷な話かもしれませんが、これはまずもってうまくいかないことを歴史が証明しています。高知県在住のとあるインフルエンサーでこれまで散々炎上してきている方がいらっしゃいます。最近もこの方の、自明なレベルで費用対効果が低いであろう高額のオンラインサロンに関し、登録する人が後をたたないことをご存知でしょうか?こちらもリテラシーの高い方であれば少し調べればわかるのであえて言及しませんが、そういうことです。

どうしたらよいねん?

とにかくこういったケースでは情報を拡散しない、情報に言及しないのが最善の策だと思ってます。

ただこれ、情報感度の高い人たちの間で問題の存在を共有できないという問題がありまして... なんとかうまい方法ないかなと考えてるんですが、私の拙いクリエイティビティでは #意地でも炎上させない情弱ビジネス みたいなタグをつけて共有するくらいしか思いつかない...

レギュレーションとしては、

  • このタグを見たら絶対に固有名詞に言及しない
  • 問題点や事実だけを共有し、リテラシーの高い人であればその固有名詞にたどり着けるようにする
  • 情弱ビジネスにまつわる固有名詞を拡散しないためだけのタグなので、私刑やイジメにつかっちゃダメよ

とかとか。クリエイティブな方々、ぜひ良いアイデアを思いついたらコメントやはてブで共有してくださいませんでしょうか!!!?

めっちゃリプとかリツイートとか言及とかしちゃった、どうしよう...

今からでも遅くありません、あなたが本当に正しい倫理観を持っているならば 全部消しましょう!!! もう一回いいます、全部消しましょう!!!

ほんとにそうなのかなー?

ぜったい炎上させた方が悪徳業者に痛手を与えられるんじゃないかと思っている方、このブログを読んだ後に当該経営者の発言をもう一回追ってみてください。うわっ、マジだーと思う発言がそこかしこで見受けられると思います。当該経営者は今回の騒動に全く意を介していませんし、むしろ喜んでいます。そして、それはビジネスにおける信用やコンプライアンスの重要性を理解していないからではなく、そこを主戦場にしていないだけなのです。